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冬の朝も、夏の午後も。暮らしから考える断熱等級
冬の朝、布団から出る前に少し身構える。夏の午後、涼しいリビングから別の部屋へ移るのをためらう。家づくりを考えるとき、そんな毎日の小さな我慢にも目を向けてみませんか。
間取りや設備と同じように、室内でどう過ごしたいかを考える。その手がかりの一つになるのが「断熱等級」です。数字を覚える前に、暮らしとどうつながるのかを整理してみます。
断熱等級は、何を表しているのか
冬に暖めた室内の熱を、外へ逃がしにくくする。夏は外から入る熱を抑える。断熱は、冷暖房で整えた室内の環境を保つための土台になります。
普段「断熱等級」と呼ばれるものの正式名称は「断熱等性能等級」です。住宅の性能を共通のものさしで示す住宅性能表示制度の項目で、壁や屋根、床、窓などを通した熱の逃げにくさだけでなく、冷房する時期の日差しによる熱の入りにくさも評価します。国土交通省の断熱性能の説明
断熱材の名前や厚さだけで、家全体の等級が決まるわけではありません。窓も含め、住まい全体としてどう熱の出入りを抑えるかを見るものです。
等級4、5、6、7は、どう違うのか
断熱等級は数字が大きいほど、より高い性能を求める仕組みです。現在は最大で等級7までありますが、地域によって基準や設定されている等級の範囲が異なります。
家づくりで目にすることの多い等級を、基準との関係で整理すると次のようになります。
- 等級4:省エネルギー基準のうち、壁や窓などの性能に当たる水準。
- 等級5:「誘導基準」という、より高い性能を目指す基準のうち、壁や窓などの性能に当たる水準。
- 等級6・7:等級5よりも、さらに高い断熱性能を求める水準。
これらは家の性能を比べる目安です。「等級が一つ上がれば室温が何℃変わる」という、暮らしの結果を直接示す数字ではありません。国土交通省の住宅性能表示制度ガイド・13〜14頁
同じ「暖かい家」という説明でも、どの水準を目指しているのかが分かると、比較の出発点ができます。まずは、建てる地域ではどの基準になるのか、計画している家はどの等級を目指すのかを確かめてみましょう。
等級の先に、窓や冷暖房の計画がある
では、高い等級を選べば、室内の心地よさはすべて決まるのでしょうか。
断熱性能を高めることには意味があります。ただし、すき間から空気が出入りしにくい「気密」の確保や、冷暖房・換気の計画も必要です。断熱等級が高くても、これらが適切でなければ、快適な室内環境を整えるのは難しくなります。国土技術政策総合研究所の住まいのQ&A
等級で評価する日差しへの対策も、実際には窓の向きや大きさ、日差しを遮る方法と結び付いています。朝に過ごす場所、午後にくつろぐ場所を思い描くと、設計で確認したいことが具体的になります。
等級の数字を選ぶだけで終わらせず、その性能を毎日の暮らしにどう生かすかまで、一緒に考えたいところです。
自分たちの暮らしに必要なものを選ぶ
計画を比べるときは、等級と一緒に「どんな断熱材や窓を使うのか」「冷暖房をどう使う想定なのか」「設計した内容を施工でどう確かめるのか」も聞いてみましょう。
費用の違いを考える際も、建築時の金額と、その後の暮らしの両方に目を向けます。ただし、光熱費は設備、使う時間、住む人数、天候や料金プランなどによって変わります。等級だけを根拠に、毎月の金額や元が取れる年数を決めつけることはできません。国土交通省の光熱費に関する説明
目指したいのは、数字の大きさを競うことではなく、その性能を選ぶ理由が分かることです。
冬の朝をどんなふうに始めたいか。夏の午後をどこで過ごしたいか。断熱等級を知ることを、これからの暮らしに必要な住まいを考える一歩にしてみませんか。