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PASSIVE HOUSE パッシブハウスとは

夏は涼しく、冬は暖かく。心地よさが続く住まいへ。

パッシブハウスで目指す、
一年を通して心地よい暮らし。

寒い朝も、暑い午後も、家では肩の力を抜いて過ごしたい。パッシブハウスは、そんな毎日の心地よさを、建物の熱の出入りを整えることから考えます。少ないエネルギーで室内の環境を保てるようにする住まいです。

特定の工法や見た目の名前ではなく、ドイツのパッシブハウス研究所(PHI)が定める性能基準に基づいています。断熱や窓、日差し、換気、冷暖房を組み合わせ、地域の気候と暮らしに合わせて考えます。[1]

木のそばに建つ家に、やわらかな日差しが届くイメージ

暮らしの心地よさ

暑さ、寒さ、湿気。
小さな我慢を、少しずつ減らす。

好きな場所で本を読んだり、食事をしたり、何もせず休んだり。
そんな時間を支えるために、室温だけでなく、窓や壁から感じる冷たさ、日差し、空気の湿り気まで整えていきます。

冬の暮らし

窓辺でも、
暖かく過ごしたい。

断熱された住まいで暖房を使い、室内の暖かさを保つイメージ

寒い朝も、窓辺でゆっくり朝食をとれるように。暖房のそばだけに居場所を限らず、部屋の中でくつろげる暖かさを考えます。そのためには、暖めた熱を逃がしにくい建物が大切です。

温度計が示すのは、主に空気の温度です。けれど、体が感じる暖かさには、まわりの窓や壁、床の表面温度も関わります。室温を上げるだけでなく、冷たい面に囲まれにくくすることも、くつろぎやすさにつながります。

壁や屋根の断熱、熱を通しにくい窓、すき間を減らす気密で、室内の暖かさを保ちやすくします。冬の日差しや室内で生まれる熱も生かしながら、必要な分を暖房で補います。[1]

日差しが入る時間は、窓の向きや周囲の建物によって変わります。晴れた昼間だけでなく、曇りの日や夜も含めて必要な暖房を考えることが、一日を通した心地よさを支えます。

夏の暮らし

強い日差しの日も、
涼しく落ち着けるように。

窓の外で日差しを遮り、室内に入る熱を抑えるイメージ

日差しの強い午後にも、家の中では涼しく落ち着いて過ごす。その時間を支えるために、まずは室内へ入る熱を抑えます。ひさしや外付けのブラインドで日差しを窓の外で遮り、断熱で外から伝わる熱を減らします。

熱の入り方には、窓から差し込む日射と、暑い外気や屋根・壁から伝わる熱があります。断熱を厚くするだけでは、窓を通る日射までは止められません。窓の向きごとに、日差しをどう遮るかを考えます。

一方で、料理や家電、人から出る熱も室内にたまります。熱が逃げにくい建物だからこそ、日射を遮る工夫と冷房を合わせて計画することが大切です。[2]

外の空気を取り入れて涼しくできるのは、外気が十分に涼しく、湿気の条件も合うときです。蒸し暑い日に窓を開ければ涼しくなるとは限らないため、その土地の夏に合う方法を選びます。

湿気の多い季節

温度だけでなく、
ジメジメも整える。

除湿機器で室内の空気に含まれる水分を減らすイメージ

雨の日も、肌のべたつきを気にせず、部屋でゆっくり過ごしたい。暑さがそれほど強くなくても、湿気が気になる日はあります。室温を下げるだけでは整わない心地よさがあるからこそ、空気に含まれる水分にも目を向けます。

湿気は外気とともに入るほか、料理や入浴などの暮らしからも生まれます。気密を高めると、すき間から入る外気は抑えやすくなりますが、必要な換気で取り入れる空気や室内の水蒸気は残ります。「すき間が少ないこと」と「空気が乾いていること」は、別に確かめます。

換気は空気を入れ替えるもの、除湿は空気に含まれる水分を減らすもの。外が蒸し暑いときは、換気だけで室内が乾くとは限りません。冷房・除湿の働きまで含めて、湿気を整えます。[3][4]

少ない冷房で室温を保てる家でも、除湿の必要量は別に考えます。断熱や気密の高さを、除湿がいらないという意味にはしません。

室温を下げる働きと、水分を取り除く働きの両方を見て、冷房・除湿の方式や運転を計画します。雨の日も蒸し暑い日も過ごしやすくするために、温度と湿気を一緒に考えます。[4]

心地よさを支える仕組み

家を包むものと、
光・空気の通り道を整える。

冬の窓辺の暖かさも、夏の涼しさも、湿気の少ない居心地も。
季節ごとの暮らしを支えるために、断熱や窓、換気の役割をつなぎ、家全体で熱と空気の流れを整えます。[1]

窓と壁の層を表した模式図
断熱 熱を伝わりにくくする

屋根・壁・床を断熱材で包み、外と室内の間を移動する熱を減らします。冬は室内の熱を保ち、夏は外からの熱の流入を抑える役割です。

大切なのは、材料の厚さだけでなく、建物全体を切れ目なく包むこと。断熱材が十分に入っていない部分や、つながりが途切れる部分があると、そこから熱が伝わりやすくなります。

気密 意図しないすき間を減らす

すき間からの空気の出入りを抑え、計画した経路で換気できるようにします。空気を入れ替えないのではなく、入れ替え方を整える考え方です。

断熱が「熱の伝わりにくさ」なら、気密は「空気の漏れにくさ」。断熱材を入れただけで気密も確保できるとは限りません。窓まわり、配管を通す部分、部材のつなぎ目まで、空気を止める層を連続させます。[5]

窓と日差し 熱を保ち、日射を選ぶ

窓は、ガラスだけでなく、枠と建物への取り付け部分を合わせて考えます。ガラスが良くても、枠やまわりから熱が逃げれば、窓全体としての働きが変わるためです。

窓の性能に加え、大きさや向き、周囲の影を確認します。冬に取り込みたい日差しと、夏に遮りたい日差しを分け、ひさしや外付けの日よけなどを組み合わせます。窓を大きくすることだけが、日差しを生かす方法ではありません。

熱橋への配慮 熱の抜け道を減らす

壁や床の接合部など、熱が集中的に伝わりやすい部分を「熱橋」といいます。屋根と壁、壁と床、窓と外壁などのつながり方が関わります。

断熱が途切れないように納まりを考え、熱損失や局所的な冷えを抑えます。部屋の空気が暖かくても、細部だけが冷えてしまわないように、平らな壁の部分と接合部の両方を確認します。

熱交換換気 熱を回収しながら空気を入れ替える

室内から出す空気と外から取り入れる空気の間で熱を受け渡し、換気による熱の損失を減らします。冬は、外の冷たい空気を室温に近づけてから取り入れることで、換気に伴う暖房の負担を抑えます。

湿気も回収する方式がありますが、その働きと除湿は同じではありません。気候に合う方式と風量、冷暖房・除湿との組み合わせを考えます。[3][4]

給気側のフィルターは、取り入れる空気の中の粒子を捉える役割を持ちます。換気装置を付けた後も、フィルターの清掃・交換や風量の確認を続けることが大切です。[8]

PHJの公式動画

動画で知るパッシブハウス

パッシブハウス・ジャパン(PHJ)の公式サイトで紹介されている
「90秒でわかるパッシブハウス」。文章とあわせてご覧ください。

少ないエネルギーで

我慢を増やさず、
必要な冷暖房を減らす。

住まいと冷暖房設備のイメージ

暑さや寒さを我慢せず、家で心地よく過ごしながら、冷暖房の負担を減らす。そのために、建物から逃げる熱や入りすぎる熱を抑え、室内を整えるために必要なエネルギーを少なくします。暮らしの心地よさと省エネルギーを、一緒に考えるのがパッシブハウスです。[1]

ただし、冷暖房や除湿を使わなくてよい家、という意味ではありません。地域の気候、窓から入る日差し、住まい手の人数や暮らし方を踏まえて、必要な設備を選びます。

「必要な熱」と「使う電気」は、別のもの。

部屋を暖かく保つために必要な熱の量と、その熱をつくる設備が使う電気の量は同じではありません。建物が必要とする冷暖房を減らすことに加え、設備の効率や使い方も、実際の消費電力に関わります。

さらに、家庭全体では給湯、調理、照明、家電などにもエネルギーを使います。冷暖房の計算結果だけから、毎月の電気代や家庭全体の使用量を決めることはできません。設計で予測した値と、住み始めてからの実測値も、分けて見ていきます。

大切なのは、設備をなくすことよりも、
建物と設備が無理なく働くこと。

長く住まうために

心地よさを、
これから先の暮らしにも。

大切な人と過ごす時間も、一人でほっとする時間も、これから先まで。
その日々を長く支える住まいのために、建物を守る工夫、続けやすい手入れ、状態を確かめてきた研究に目を向けます。

家と、手入れに使う道具のイメージ

見えない場所の湿気にも、配慮する。

心地よい暮らしを長く続けるには、普段は見えない建物の内側にも配慮が必要です。適切な気密は、湿った室内の空気がすき間から壁の中へ入り、冷えて結露するリスクを減らします。

室内がジメジメするかどうかと、壁の中で結露が起きるかどうかは、同じ確認ではありません。壁の中では、材料の温度や水蒸気の通りやすさ、空気が漏れる経路などが関わります。室内の湿度計だけでは、見えない部分の状態までは分かりません。

断熱や気密、湿気の通り方を考えた設計と施工に、計画的な換気を組み合わせる。建物を長く使うための土台は、こうした細部の積み重ねです。素材や使い方による経年変化にも目を向けます。[5][6]

手入れと交換を、暮らしの中に。

住み慣れた家を、手入れしながら大切に使い続ける。性能を保つには、換気フィルターの清掃や交換、窓の気密部品の点検、設備の修理・交換が必要です。建物と設備では使える期間が異なるため、こうした手入れを続けやすい計画にします。

フィルターを取り出せる場所があるか、換気装置を将来交換できるか、窓の部品を点検できるか。建てるときにこうしたことまで考えておくと、日々の手入れや不具合への対応を続けやすくなります。

手入れの内容や時期は、機器の説明書や使う環境、実際の状態に合わせて判断します。

一棟ごとに確かめる

その土地で、
その暮らしに合うか。

家と計算・確認用紙のイメージ

窓辺でくつろぐ朝や、暑い日に家で休む時間。その暮らしを、この土地と設計でどう支えられるかを確かめます。同じ断熱材や窓を使っても、地域の気候、建物の向き、周囲の影、窓の大きさによって、入る熱も逃げる熱も変わります。

設計で予測し、施工と測定でつなぐ。

設計では、気候、窓、断熱、換気などの条件を計算に反映します。パッシブハウス・プランニング・パッケージ(PHPP)という設計計算ツールを用いて、必要な暖房・冷房やエネルギー、夏の過熱などを検討します。選んだ材料や設備を、建物全体として確かめるための計算です。[6]

施工では、断熱や気密の層がつながっているか、窓や配管まわりが計画どおりに納まっているかを確認します。仕上がると見えなくなる部分を、工事の途中で確かめることも大切です。

気密試験では、建物の内外に圧力差をつくって、どの程度空気が漏れるかを測ります。換気は給気・排気の風量を確認し、必要な量とバランスに調整します。計算、施工確認、測定をつなぐことで、設計した性能を実際の建物へ近づけていきます。[9]

性能基準は、何を確かめるもの?

「断熱材を何センチ入れたか」だけでは、家全体の性能は分かりません。パッシブハウスの基準では、冷暖房に必要なエネルギー、空気の漏れにくさ、建物のエネルギー利用や快適性に関わる条件を確かめます。地域の気候を踏まえて、建物として成り立つかを見る考え方です。[1]

考え方と、認証を区別する。

パッシブハウスの認証は、設計計算や図面、気密試験、換気の調整記録などをもとに、定められた基準を満たすかを確認する仕組みです。「考え方を取り入れた家」と「認証を取得した家」は、分けて伝える必要があります。

このページでは一般的な考え方を紹介しています。個別の住宅の性能や認証の有無は、その住宅の資料で確かめるものです。

もう少し知っておきたいこと

「パッシブデザイン」とは同じですか?

日差しや風など自然の力を生かす「パッシブデザイン」は、設計の手法を指します。一方、パッシブハウスは、工夫の結果を計算や測定で確かめる、性能の物差しを持っています。

特定の材料や工法、決まった間取りを選ぶというより、敷地と暮らしに合う設計で基準を満たすことを考えます。両者は関係しますが、自然の力を取り入れただけで認証されたパッシブハウスになるわけではありません。[6]

窓を開けてもよいのですか?

はい。パッシブハウスでも、窓を開けて過ごせます。普段の空気の入れ替えを機械換気が支えるので、窓を開け続けることだけに頼らず、必要な換気を保てるようにします。[10]

気持ちのよい季節は外の空気を楽しみ、暑い日や寒い日には室内の環境を保つ。涼しさを得るために窓を開けるときは、外気の温度と湿気も見て判断します。[2]

参考にした公式資料・研究

確認日:2026年9月21日。研究の対象・条件は本文に併記しています。

  1. PHI / iPHA「Passive House」定義、基本原理、快適性と省エネルギー。公開・更新日の記載未確認。
  2. Passipedia「The Passive House in summer」夏の日射遮蔽、内部発熱と冷却の考え方。更新:2021年10月13日。
  3. Passipedia「Air volumes」換気量と湿度、外気と室内の水蒸気。更新:2019年3月20日。
  4. PHI「Cooling systems for hot and humid climates」講習案内蒸暑地での冷却・除湿、熱と湿気の回収。2021年の講習説明。更新日は未確認。
  5. Passipedia「Airtightness and windtightness」気密と湿気による建物損傷の防止。更新:2024年6月26日。
  6. パッシブハウス・ジャパン「パッシブハウスとは」 / よくある質問建物の性能、設計手法と基準、PHPP、経年劣化と壁内の水蒸気への配慮。「90秒でわかるパッシブハウス」の掲載元。ページ・動画の公開/更新日は未確認。
  7. PHI「Research」初期のパッシブハウスの長期調査。公開・更新日の記載未確認。
  8. Feist / Pfluger / Hasper「Durability of building fabric components and ventilation systems in passive houses」(PDF)オンライン公開:2019年3月9日。Energy Efficiency(2020年)。ドイツの4戸連棟住宅の25年調査。約50年の将来見通しはPDF16ページ(誌面1558)を参照。
  9. PHI「Building certification」建物認証と品質確認。公開・更新日の記載未確認。
  10. Passipedia「Types of ventilation」機械換気と窓開けの関係。更新:2025年11月27日。
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